チャンピオンズリーグ準決勝 初観戦
こんにちは。
チャンピオンズリーグ準決勝
12:00ミュンヘン発ーローマ経由ー
18:00マドリード着
でスペインマドリードにやってきました。
二ヶ月ぶりのスペイン!やっぱりドイツと違って暖かくていいですね!
試合開始は、20:45なので、もたもたしてられません。
駅員さんに、「ビセンテ・カルデロン(アトレティコマドリーのホームスタジアム)に行きたい!」
と言うと、
さっそく「サッカーだな?アトレティコファンか?おれはレアルファンだぞ!笑」
とサッカー大好き、陽気でノリがいい。
駅の名前と行き方を教えてくれました。
こんな時使えるスペイン語は、
「quiero ir a el Vicente calderón. キエロ イール ア ビセンテカルデロン。(ビセンテカルデロンに行きたいです。)」
「¿cómo se va al Vicente calderón ?コモ セ バ アル ビセンテカルデロン?(ビセンテ・カルデロンにはどのように行きますか?)」
となります。是非使ってください!
ビセンテカルデロンの最寄り駅は、「pirámides駅 」と教えてくれました。
空港からレンフェ(電車)で、乗り換えなしで、約40分。
乗り場は、確か1番だったと思います。
20分ほど待って電車に乗る。
電車に揺られ約40分。
19:30 pirámides駅着
たくさんのアトレティコファンが居ましたので、スタジアムの方向はすぐにわかりました。
アトレティコファンの大群と歩くこと約10分。
スタジアムの中に入りました。
席は一番上の方でしたが、とても見やすい。
バイエルンは、まさに悪者といった感じ。
そんな中、試合開始。
僕はバイエルンミュンヘン側のゴールの後ろなので、バイエルンのボール回しに、アトレティコのプレスが向かってくる姿が観えます。
試合開始からアトレティコのボールを奪いにいく姿勢、前へ前へという勢いに、バイエルンが圧倒されていた。
このままアトレティコ優位のまま試合が決まってしまうのではないかというほどの選手たちの気迫。
アトレティコは、前からプレス。
バイエルンは、ボールを最終ラインで回す。
「堅守速攻のアトレティコ」と
「ポゼッションのバイエルン」
どちらが勝つのか、楽しみです。
やはり、注目すべきはアトレティコの守備。
DFライン4枚、MF4枚、ツートップ2枚の、
4-4-2の3つのラインが、美しく横にラインを作り、一つ一つのラインの間はコンパクト。
アトレティコが自陣深くに下がり込んだ時、
テレビで見ていて、コンパクトだなと思っていましまが、
生で観るとその「コンパクトさ」がよりはっきりとわかる。
ライン間は、はっきりとはわかりませんが、近い時には5mくらい。大袈裟にいえば、センターバックとボランチが、グッと手を伸ばせば届くのではないかと思えるほど驚きの「コンパクトさ」。
攻撃する側はスペースがほしいわけですから、「コンパクト」にして、スペースを消すことは守備の鉄則ですが、
それにしても「徹底されたコンパクトさ」。
「コンパクトさ」と同時に驚いたことは、
「スライドの速さ」。
ポゼッションのバイエルンとしては、ボールを持ちながらスペースを作るために、速いサイドチェンジを繰り返し、相手を片方のサイドに寄せてから、空いたサイドのスペースを攻めたいところだが、
アトレティコの「スライドの速さ」がそれをさせない。
サイドが、空かないバイエルンとしては、サイドに揺さぶっている間に、アトレティコのセンターバックとボランチの間、センターバックとサイドバックの間など、相手にとって危険なエリアにボールを入れたいが、アトレティコの素早いスライドと的確なポジショニングでそれもさせない。
「コンパクトでスライドの速い守備」に、
バイエルンは、サイドからも中央からもどこからも攻めることが出来ずに、ただ「ボールを持たされているだけ」苦し紛れの「シュートを打たされてるだけ」であった。
さらに、アトレティコの守備の注目すべきところは、自陣で待ち構えるだけでなく、
効果的にプレスをかけ、能動的にボールを奪えるところに凄さがあった。
中央を固めてサイドにボールを追い込んで、狙いを持って、バイエルンのサイドバックとウイングのところでボールを取れていた。
そして、奪ったボールを2、3本のパスで同サイドのサイドバックの裏を狙い、攻撃にも繋げていた。
そして、相手陣地でボールを失ったあと、すぐに自陣に下がるのではなく、何度も相手陣地でボールを奪い返していた。
ここが、単にリトリートして守るだけのチームとアトレティコの違いだった。
アトレティコの守備は、前からプレスにもいくが、奪えないとなると、前述した通りすぐにコンパクトに陣形を整えて相手を待ち構える。
「相手のボールを奪いにいく」
ことと、
「自陣に戻り、コンパクトな陣形で守りを固める」
この二つを、組織的に効果的に見事に判断されて行われていた。
この「奪いにいく」と「守りを固める」といった判断をどのように行っているのか、興味を持った。
奪われたあと、何秒間はプレスにいくというルールがあるのか、練習や試合で培った経験から選手たちが判断しているのか、予想することしかできないが、本当に見事だった。
先制点はアトレティコ。
サウルのドリブル!目の前で観てましたよ!
会場の盛り上がりは、最高でした!
サウルがボールを持ち、まさかあそこからドリブルでゴールまでいってしまうとは、だれも思わなかったでしょう。
チアゴをかわして、おっ!
ベルナトをかわして、あっ!
シャビ・アロンソをかわして、まじでっ!
ペナルティに侵入して、まさかっ!
打った!!
入った!!
うぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!!!!
見事なゴールでしたね!
チャンピオンズの歴史、アトレティコの歴史に残るスーパーゴールだったと思います!
このゴールを少し巻き戻して見てみると、
前回の分析でハビ・マルティネスがロングキックをミスしてカウンターを受け失点していたように、同じくハビ・マルティネスのロングキックのミスから失点シーンが始まっていることがわかります。
この失点シーンの前後でも、ハビ・マルティネスは、アトレティコからプレスを受け、苦し紛れのパスを出したり、慌てたりしている様子がわかります。
ボアテングよりは、テクニックがないですから、狙われることもわかります。
ハビ・マルティネスのロングキックは、バイエルンの選手が誰も触れないところに飛んでいき、アトレティコの選手が簡単にクリアしています。そのボールがサウルまで繋がって、ドリブルがスタートするのですが、ハビ・マルティネスも自分のロングキックのミスが失点まで繋がるとは思わなかったでしょう。
そして、簡単に抜かれていくバイエルンの選手3人。
世界のトッププレーヤーが、不思議なほど見事に抜かれいます。
バイエルンはポゼッションをしてパスを多くするサッカーですから、練習でも当然同じようなプレーを繰り返していることでしょう。
ということは、練習でドリブルをしてくる選手が少ないわけですから、ドリブルに対応する回数も必然的に減っているはずです。ですから、僕は、バイエルンの選手たちは無意識のうちに、ドリブルへの対応に慣れていなく、対応が悪くなってしまうということも考えられると思いました。
その後も続くアトレティコの勢いと気迫。
この勢いも前半10〜15分までなのかと少し思いもしたが、そんなことはなかった。攻撃ではカウンターから、ゴールチャンスを何度か作った。守備では、バイエルンを45分間、横パスとバックパスばかりのボール回しと苦し紛れのシュートだけに抑えた。
アトレティコの気迫と勢いは、前半終了まで何一つ変わらなかった。
ハーフタイムを挟み、後半開始!
後半も前半と同じような試合展開。
やはり、注目すべきはアトレティコの守備。
バイエルンの両ウイングのコーマンとドウグラス・コスタを完全に抑える、フェリぺ・ルイスとファンフラン。
ブンデスリーガでは、活躍し注目を集めているコーマンとドウグラス・コスタであったが、リーガ・エスパニョーラで、クリロナ、ベイル、ネイマール、メッシを相手にしているフェリぺ・ルイスとファンフランの前では得意のドリブルも披露できなかった。
リベリーが途中から入ってからは、少し勢いかついたバイエルン。
コーマンとドウグラス・コスタに比べたら、リベリーの方がワンランクもツーランクも実力が上だった。リベリーの方が速いとか、テクニックがあるということではなく、単に一対一の上手さがリベリーの方が上であると感じた。間合いや仕掛けるタイミングや駆け引きといった点で。
更にアトレティコの守備で、印象的だったのはダブルボランチのアウグストとガビ。
よく走り、危険なエリアにボールを入れさせないポジショニング、危険なエリアで自由にやらせないボールを奪いにいく気迫。
ガビは、バイエルンのキーマンであるチアゴがボールをもらおうとすれば、猛然と奪いにいき、バックパスをさせて、何もさせない。
ガビを嫌がって、サイドに逃げるチアゴであったが、そこでもガビのプレスを受け、なにもできなかった。
「何もさせない!」というハートが伝わってくるプレスであった。
そんなガビの献身的なプレッシングによって、会場にいるアトレティコファンが、一つになる瞬間があった。
後半を20分を過ぎたころ、アトレティコの選手がクリアしたボールを、バイエルンの最終ラインの選手が拾った。
すると、ガビが20〜30mの距離を全力ダッシュで走り、相手にプレスをかけたのだ。
すると、ビセンテ・カルデロンのスタジアム全体から大きな拍手が起こったのだ。
僕はとても感動した。
なぜなら、オーバーヘッドや強烈なシュートを放つというような派手でかっこいいプレーに拍手が起きたのではなく、
後半20分ごろ、体力的に苦しくなってくる時間帯に、「全力で走る。」という地味ではあるが、「献身的なプレー。」に会場からその日一番の拍手が起こったからだ。
日本ではまだまだ派手なプレーに注目が集まり、地味なプレッシングに会場全体から拍手が起きるなんてことを僕は見た事がない。
アトレティコのサポートたちは、「サッカーで大事なことを知っているんだ。」と感じる事ができる瞬間であった。
そんなキャプテンガビの献身的なプレーもあり、アトレティコの運動量と集中力は後半終了まで落ちることはなかった。
しっかり守り、カウンターからチャンスを作った。
終盤は、グリーズマンのポジションを中盤の左サイドとボランチの間に下げ、4-5-1のシステムに変更し、さらにゴール前中央の守備を固めた。
攻撃はしづらいポジションに下がったグリーズマンではあったが、きっちりポジションを取り、組織的な守備をこなしていた。これもまた、チームのために守備戦術を守る、献身的なプレーであった。
そして、アトレティコのもう一つ凄いところは、勝利のために必要であれば、パスを回すこともできるところにある。基本的に「堅守速攻」のスタイルでプレーしているが、一点をリードしている後半、無理に攻めてボールを失うのはよくない。
それよりも、ボールを回し休憩する時間を作る方が得策である。ボールを回していれば、バイエルンに攻められることもないので、守備をしていることにもなる。さらに、ボールを持ちたいバイエルンのリズムを壊すこともてぎるからだ。
アトレティコの戦いは、勝利に対して合理的かつ効果的であり、状況に応じて臨機応変に対応する柔軟性もあり、言うことなしであった。
戦術的にも優れていたが、「パッション」「気持ち」の部分でも、バイエルンをはるかに上回っていた。
アトレティコホームでのアドバンテージは多いにあるとしても、セカンドレグに影響を与えるほど、バイエルンはなにもできなかった。またアトレティコは、アウェイゴールも取れる力を感じた。
セカンドレグでは、バイエルンホームで、猛反撃が見られる期待もあるが、
ファーストレグで、勝負は見えたといってもよいくらいに、バイエルンはよくなかった。
なぜグアルディオラは、ミュラーとリベリーをスタートから使わなかったのか疑問でならない。